落し物No.1についての考察

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「まず、お前らは作戦会議のミーティングをしていた。そして、それを板書していた。あってるな?」 「うん。間違いないよ。」 「ノートが今ここにあるってことは、提出していない。お前の話によると、これは提出しない。つまり、落書きし放題だ。」 「そう、ね…。」 大事なのは、 「落書きし放題ってことが、重要だ。」 「落書きが?」 「あぁ。お前は、落書き癖があるみたいだな。前のページを見ればわかる。でも、今日だけはされてない。それは、なぜか。」 「…?」 「消したからだ。」 「消したから?それがなんだって言うの?今日は、たまたま先生が…」 「近くに来たんだろ?後ろに座っているお前の近くに。」 いつもは前にいるのに。 今日は、たまたま。 「そうよ。皆川先生が、今日は私の近くに来たの。だから、怖くて消した。」 「そのとき、シャーペンに手が当たって落としてしまった。」 焦って消している途中だ。 手が当たってしまうこともある。 「そう!そのときに落としたの!でも先生が通り過ぎて拾おうとしたら、無くなってて…。」 「大事なシャーペンともなると、すぐに拾おうとしたはずだ。しかし、拾えなかった。皆川の前だ。誰もが、余計な行動は避ける。何を言われるか、怖いからな。シャーペンくらい、後でも拾える。」 そう思ってしまった。 「でも…皆川先生が持ってる意味がわからない。」 「…まぁ、蹴ったんだろうな。」 「蹴った?」 「もう、いいお年だ。最近、足を引きずって歩いているのをよく見るしな。」 「つまり、足が上がらなくてってシャーペンを蹴ってしまったってこと?」 「まぁ、それが妥当だろ。足に当たった落し物を拾わないほど、非情でもないだろうし。たぶん、お前らの誰かが落としたと思わなかったんだ。前ならまだしも後ろに転がることは、まず無い。」 「そっ、か…」 「きっと、今も持ってるよ。」 「じゃあ、取りに行ってくる。鞄見てて!」 「あ、おい!」 走って行ってしまった。 俺は荷物の番か…。
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