落し物NO.2についての考察

6/8
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「山口、聞いていいか?」 「ん?」 「お前の部屋、誰が掃除してたんだ?」 「え?」 「お前の散らかし方してたら、定期的に掃除しないといけないだろ。誰がしてた?」 「そ、そんなの関係ないだろ。」 「ある。大いにある。たぶん、写真集も見つかる。」 「本当か?」 「あぁ。」 「…彼女だよ。他校の子。隣の高校で、名前は美里」 みさとちゃん。 おそらく、その子が…。 「この前、来てた。その日は片付けとかもしなかった…ていうか、できなかった。」 「できなかった?」 「…入院してんだよ。今度、手術だからっていう報告に来てくれた。それが明後日なんだ。」 その時に、ペットボトルだけでも片付けたのか。 「忘れて欲しいって、言われたよ。別れようって。」 「…どうして」 「治るか、微妙らしい。手術して治んなかったら、また手術。そんな彼女、嫌でしょって。」 涙声。 回転椅子を回して、俺には顔が見えない。 「嫌じゃねーっての…。美里が好きなのにさ。」 「本当に、」 「え?」 「本当に、好きなんだな?」 「あたりまえだろ。」 「めちゃくちゃ大事なんだな?」 「めちゃくちゃ大事だよ。変わってやりたいくらいに。」 「わかった。」 それだけ好きなら、 それだけ大事なら、 親友らしく手伝ってやろう。 観察して、考えて、2人が笑うなら協力しよう。 俺の特技だ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!