落し物NO.3についての考察

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「記憶?」 「そう。たぶん1番大事な記憶。でも、一向に思い出さない。どっかで落としたんだ。」 「そんなことあるか?」 「あるんだよ。」 「でも…」 「いいから、帰ろう。」 『帰るね!』 「でも、水木…」 「もういいって、哲也…、え?」 「哲也?誰?」 「哲也って、誰だ?」 誰、哲也、誰だ… 「水木?」 誰だろう。 たぶん、それが… 「水木!」 目の前が真っ暗になって、体の半分が痛かった。 目が覚めると、家のベッドだった。 「起きたか?貧血だって。」 「山口…」 「意外と軽いのな。」 あぁ、運んでくれたのか。 「悪い、助かった。」 「起き上がるなよ。もう帰るから。」 「送る」 「いいって。寝てろ。じゃあな。…なぁ、」 「ん?」 「思い出さないくていい記憶も、あるのかもな。」 玄関の方から、お邪魔しました、という声が聞こえた。 情けないな、俺。 思い出さなくていい、記憶。
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