「好き」という未発達な感情

俺という人物についての考察

ミンミンとうるさく鳴くセミたち。
いくら風が吹いたって、それだけで暑く感じるから人間は不思議だ。

汗だくになりながら、自転車で学校に向かう日々は夏休みに入ると関係ないと思っていた。

そんなわけないのに。

「…なんで。」

なんで夏休みに入っても同じことを繰り返してるんだ、俺は。

『進路、もうそろそろ考えなさいよー。』

そんなことを担任に終業式で言われた記憶が、頭をよぎる。まぁ、ハエが飛ぶ速度で過ぎてったけど。

「あつい…。暑すぎる。」

ひとり言を呟きながら自転車を漕いでるのは、側から見たら滑稽だろうな。
でも残念、今年は例年より暑いらしい。
人なんてすれ違わない。

20分かけて、やっと学校に着いたときにはシャツは背中だけ濡れていた。