俺という人物についての考察

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「結婚指輪って…」 先生のデスクの下、射し込む太陽が反射して光っている何か。 「あれですか?」 「ん?え、嘘。あった。あったよ!!!」 「え!ほんと?!」 「どこどこ?」 先生が拾って、長野先生に手渡す。 「これ!ありがとう!」 長野先生が、先生に向かってお礼を言った。 「違う違う。水木くんが見つけてくれたのよ。」 「そうなの?涼くんありがとー!!!」 そういえば、この先生、下の名前で生徒のこと呼ぶんだったな。なんて、お礼を言われて思い出した。 「いえいえ、見つかって良かったです。」 「本当にありがとう。もう、見つからないかと思った…。」 「得意なんですよ、俺。」 「得意?」 「探し物、探すの。昔から得意なんです。」 あ、自己紹介に追加しよう。 俺、水木 涼は、 探し物が得意である。 「じゃあ、家の人とか助かるんじゃない?」 「そうでもないですよ。」 「そうなの?」 「はい。」 理由は、ちゃんとある。 「その人が、本当に大事な物だったり、好きなものしか見つけ出せないんですよ。結婚指輪だって、長野先生が大事にしてる物だから見つけられた。」 「へー、特殊なのね。」 「まぁ。」 あと、もうひとつ。 自分のものは、見つけられないのだ。
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