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「グッズで買い忘れた物もあるし、ちょっと付き合ってよ」
今は若い姿のエピナルさんだが、こんな美人が何かにハマり、キラキラした目でグッズを見る姿もギャップがあって可愛い。
売り場は先程よりも人が少ないので皆は出待ちをしているようだが、キーホルダーの写真を見て驚いた。
「えっ、素顔こんな感じなんですか?」
一座のイケメン達のメイク前の写真がはめ込んであるが、白塗りしなくても皆レベルが高いので逆に勿体ない気もする。
「イケてるでしょ?でも私はまだ芝居に出てない子にも目をつけてるんだよねー」
「……な、なるほど」
人気が高そうな数名はかなり減っていたが、正統派のイケメンなので、身近なら空蝉屋の狛さんみたいだ。
イザリ屋もイケメンはいるが比較的目つきがキツめなので、おっとりしたボンボン育ち……という雰囲気がある彼が近い。
あくまで写真での話で、芝居が始まり演じている時は鋭い目や口調等で同一人物には見えないが、どちらにしても皆モテそうだ。
「イケメンって狼の世界が多いって聞いてたんですが、どの世界にもいるもんなんですね」
「まぁね、でもこの一座は大衆演劇で世界を回ってるからファン層がコアだし、知らない人もいるかも」
そんな会話をしながら出待ち場所に行ったが、人が多すぎてとてもじゃないが見えそうな感じではない。
「仕方ない戻ろうか、どうせ後で合流出来るし」
「――えっ?!」
会場に着くまでの間話を聞くと、蝶の世界のトップにお礼を言うついでに、お茶会にも数人顔を覗かせるらしい。
一座は明日から近隣で何公演がして移動するみたいなので、トップに挨拶をしておきたいのもあるかもしれない。
「大変ですね、旗とかも片付けもあるだろうし昨日辺りから来て準備ですか?」
「ううん、一昨日くらいから来てたみたい」
そんな会話をしながら戻ると、ケーキを頬張りながら瑠里とシノンさんは会話が弾んでるようで仲のいい友達のように見える。
「百合も遠慮なく食べてね」
「はい、有難うございます」
エピナルさんは用があると会場から出て行ったが、他の女性達も芝居の話で盛り上がる中、カラフルなケーキを迷いながらトレーに乗せていた。
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