お楽しみ会

19/22
前へ
/227ページ
次へ
女性達の後ろの方からこっそり様子を伺うと、全員素顔だし背が高いので顔も見えるのでラッキーだ。 先程の男性と思われるイゼールは、思ったとおり育ちがいい王子様といった感じで大きな目と照れたような笑い方が初々しい。 「可愛らしいな、あれは人気出るよ……」 素顔が見れたので、満足してドリンクコーナーに向かう。 コーヒーでも飲んでケーキを食べるのを再開しようとしたが、カップがないのでキョロキョロしながらテーブルの下を覗き込んでいた。 「おっ、カップのストック発見!」 小さな棚がセットしてあり、トレーで引き出せるようになっていたので、ついでに持ち上げようと手にして下から顔を出す。 カップが乗ってるので若干腕がプルプルと震えているが、普段はいたって普通の女子なので落とさないよう慎重に移動する。 「大丈夫ですか?」 言葉と同時にトレーを支えてくれ、そのままテーブルに運んでくれたのは初々しい笑顔の王子だった。 「えっ、あのっ、こんな所にいて大丈夫ですか?」 「ええ、先輩方は女性達に囲まれてますけど僕はまだ舞台にも出てないので……あっ、ジュリスと申します」 「は、初めまして月影百合と申します」 このレベルでまだ舞台に立ってないってどんだけハードル高いんだと思いながら、この人をイゼールだと勘違いしていたので驚いた。 「座長達はガーニョさんと話があるみたいなんで、僕はちょっと待機なんです」 「そうなんですね、芝居見せて貰ったんですけど凄く良かったです」 「有難うございます、もう少ししたら出れると思うんでその時はご贔屓に」 まだ舞台に上がっていない状態からこの営業スマイルが養われているなんて、この一座はホスト養成所ではないかと思わせる。 しかもイケメンなら鬼に金棒なので、その内この人も人気が出るに違いないし、サインでも貰っておいたら値打ちが……いや、瑠里の考え方は止めておこう。 あまり隣に居ても休憩にならず迷惑だろうと思い、さっさとコーヒーを注いで礼をしたが、ジュリスが呼び止めてくれた。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加