レディ達の覚悟

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エピナルさんを探しに行き恐らくあそこにいると思ったから、一旦職場に帰りチケットを持って明日芝居を見に行こうと思っていた。 木村さんに相談して、どうすればいいか指示を仰ごうともしていた……でも、その前に敵に見つかってしまったという事だ。 子供達を商売に使っていた者は執行された筈なのに、エピナルさんの行動やガーニョの哀しそうな表情、どうもスッキリしない違和感。 そんなあやふやな状態で下手(へた)に確認しに行き、妖怪エリアにも関わらず自分の判断で動いてしまったせいだ。 「内容を話した時点でお前の心臓は止まる、誰にも気づかれないよう一人で先程の場所に来い」 「分かっ……た」 こんなに容易く攻撃(なにか)を仕掛けられ、しかも今の私レベルではどうにも出来ない。 たった数十分前まで瑠里と楽しく会話し、後は帰るだけで明日からはお休みだった。 『ちょっと気になっただけ』 その為に行動して命を亡くす事になるとは思ってもいなかったし、一気に恐怖と絶望の闇の包まれ目眩(めまい)を起こしそうだった。 おまけにこれから勘のいい瑠里と職場に帰り、これまた察しがいい木村さんと接して、異変に気付かれない訳もない。 こんな魔法技をどう解いていいかも分からないし、まして話をした時点で死ぬんだから口が裂けても言えない。 泣きたくても泣けず、これから一世一代の大芝居で二人の審査員の目を誤魔化さないと、エピナルさんの安否を確認する前に自分が死んでしまうのだ。 「せめて、苦しまずに死ぬ術であって欲しいな」 怪しまれないよう小走りに瑠里の待ってる場所に着くと、チラリと睨まれ遅いよと顔に書いてあった。 「ごめんごめん、エピナルさんと少し話してて」 「そういえば見送りの時居なかったもんね、じゃあ帰ろっか」 緊張で鼓動が早くなるのを感じながら扉を潜ると、いつものように風圧で顔の筋肉をブルブルされてからシャワー室に入る。 「お疲れ様、コーヒー飲んで帰ってね」 指示された部屋で瑠里とコーヒーを飲むと少しリラックスしてきたので、いつもの調子を取り戻せた気がする。
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