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レディ達の覚悟
年齢はかなり離れている……に違いないが美人で心強い姉が又増えたような気分だし、お茶会は定期的ではないので、エピナルさんなら見送りに居てくれそうな気がする。
「何か……気になる」
部屋がノックされ瑠里がひょこっと顔を出すと、二人揃ってエレベーターに乗り込んだ。
「結局楽しかったわ、気の合う友達も出来たし又お茶会に来たい」
瑠里は明日からの休みの計画を考えているようで、まずコンビニでお菓子を買い込んで帰る所からスタートし、バレンタインチョコはどうしようか等口に出して作戦を練っている。
入口を出た所で扉を出せる場所を探していたが、頭から離れず不安がどんどん膨らんでいくので思わず呼び止めた。
「あのさ先に帰ってていいよ、ちょっとエピナルさんに伝えたい事があって」
「いいよ、すぐ終わるだろうし待ってる。気になる事は済ませて来て」
「………」
勘のいい妹は表情で何かを感じ取ったのか待機する気なので、逆にすぐに終わらせないとシバかれそうだと小走りになる。
といっても居る場所も分からないし豪速で走った所で見つかる筈もないが、何となく近辺のホテルを目指していた。
お茶会の場所から少し離れていて高級そうなホテル……と呟き走っていると、異世界ではお馴染みだが、城のような造りで高そうな建物を見つけた。
普通なら車で三十分くらいの距離だろうが、犬螺眼ですぐに辿り着き何となく庭を歩いていると、サングラスにマスクをした長身の男性数名が建物の中に入って行く。
「このホテルに泊まってるのかな」
スタイルの良さが仇となり、恐らくあの人達は一座の人気度が高い役者だと予想すると、踵を返し瑠里の元へ急いだ。
ここまでの移動時間も五分かかっていないので、元の場所に戻り中庭を歩いていると、頭がズキンとして手を当てた。
『……止まれ』
「――えっ?!」
周りを見渡しても誰もいないし念の為、下や空を見上げても何もいない。
そもそも近くに気配もなく声は頭の中に響くような感覚で、すぐにそこから呼び止められたものではない。
『この事を誰かに話した時点でお前は死ぬ、それから今晩先程の場所に来い、来なければ友人が死ぬ』
「なっ、どういう事?!」
思わず立ち止まり周囲を警戒しながら疑問をぶつけたが、友人が死ぬ……というのは心当たりがあった。
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