役者は揃った

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「僕は鉛筆以上に重いものを持ったことがありません……」 壇が作った追試対策問題を泣きながら何度も解いた小田部が、大筆に寄りかかってぐずった。 あれから木崎が小田部をマークし、サボろうとすると鬼になって、彼のカバンについたフィギュアに落書きをしようとしたり腕を捥ごうとしたり。 結果、奇跡的に小田部は追試に合格した。 活動拠点を白河の家の道場に移した書道部。 叩き手のいなくなった太鼓も借り受け、オスカルの車で運んだ。 道場には三宅太鼓のリズムと、詩を吟ずる郎朗とした長峰の声。 そして広げたロール紙の上で嘆く、小田部の弱々しい嘆き。 「お前が追試合格できるように協力してやったんじゃん? 困ってる壇を助けてくれてもいいんじゃね?」 威圧してくる逆光の木崎。笑っているから余計怖い。 「別に困ってねえけど」と呟きながら、壇は苦笑いした。しかし提案したのは自分だ。 ーー馬の絵、入れよう。 小田部の絵を宇岩田に見せた。 部長の顔が輝いたことは言うまでもない。 「小田部くん! 君の力が必要なんだ!」 「あっ!? あ、あひぃ!」 ガシッと手を掴まれて流星群が目に宿った宇岩田の頼みを断ることなど、小田部には出来なかった。 もちろん断ったところで、木崎や千春が逃すはずもなかったが。
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