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「そ、2人で」
家の近所の公園。
昔と変わらないベンチのそばに立ち、
「いーか、10数えてから、ゆっくり目を開けろよな?」
「いーけど、なんで私が鬼?」
「いーだろ、久々なんだから」
「いーけどさ、じゃあ数えるよ、イーチ、ニー」
目を瞑って数を数える。
昔と何も変わらない。
変わったのは、鬼が私だということくらい。
「10」数え終わりすぐに目を開けた。
さて、どこを探そうかな。
そう思った矢先に後ろから急にハグされていた。
コウタだ。
すぐにわかる。
「……」
黙って私を背中からハグするコウタ。
「…コウタでしょ、見つけた」
「見つかったか」
コウタの事は、どこにまぎれていてもわかるっつうのに。体育祭でも大勢の男子の中からすぐにコウタを見つけられる。
「バレバレだよ」
今、コウタに不意打ちのバックハグされている。
女子なら誰しも好きな人にバックハグされたい願望があるものだ。
ドキドキが高まる。
「バレバレか、なーなら、これもバレてる?」
ひと呼吸おいてからコウタが言った。
「昔から俺がお前を好きだって」
まわされたコウタの腕にそっと指で触れてみる。
夕陽に染まる小さな公園。
2人の影が地面にうつる。
なんかニヤける。
バックハグで良かった。
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