口移しで、チョコレート

14/25
前へ
/27ページ
次へ
 水神は透の蕾に指を這わせた。 「……せ、誠司さんっっ……!?」 「久しぶりだから、少し慣らすよ」  水神は透の後ろを指でほぐしていく。その度にピクピクと透の身体が小刻みに跳ねる。  徐々に指の本数を増やしていけば、次第にそこは水神の指を容易く咥えこむようになった。 「……そんな、いやっ……」  湯船の縁にしがみつきながら、透は猫のように背中を反らせて水神を見つめる。  その瞳は、恥じらいながらも求めているようにしか見えなかった。涙を溜めた熱のこもった瞳に、水神の我慢はもう限界だった。 「……もう、挿れるよ」 「あっ……」  透の中にずぶりずぶりと入っていく。指を容易く受け入れていた透のそれは、水神のものもあっという間に飲み込んだ。 「やぁぁぁっ……!!」  全てが入ったところで、透は声を上げて激しく身体を仰け反らせた。 「……動くよ」  水神にはもう耐える術もなかった。  優しくしてやる余裕も、甘い台詞を囁く余裕もない。 「……好きだ……透……好きだよ……」  そう言いながら腰を打ちつけることしかできない。  好きだ、好きだと何の捻りもなく、ただひたすら胸の思いを囁くたび、透のそれはよく締まった。  それが堪らなく嬉しくて、水神にはますます余裕がなくなっていくのだ。  水神は透の耳の裏に舌を這わせ、耳たぶを甘噛みした。  透の好きなところ。自分だけが知っている、透の弱いところ――――。  がむしゃらに抱きたい。全てを忘れて、ただ透への愛情をぶつけたい。それだけで―――― 「……好きっ……誠司さん……愛してるっ……」  振り返った透の目から涙がこぼれ落ちる。 「……俺も……愛してる……」  動きを止めぬまま、水神は透の唇を奪った。愛しい思いを伝えるべく、深く深く口付ける。 「んん……んふっ……」  透の涙も汗も唾液も、全て残らず飲み込んでしまいたい。  そんなことを言ったら、気持ち悪いと思われてしまうかな。  でも――――それでも、今このときだけは透のことだけを考えていたい。  好きで好きで、どうしようもない。 「……誠司さんっ……もうだめっ……!!」 「……俺もっ……!!」  ――――このまま、時が止まってしまえばいいのに。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

384人が本棚に入れています
本棚に追加