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ひとりじゃない
短い人生だったけど僕は満足している。君と家族になれたから。
君は僕のベッドの横に座り、病院の布団に倒れるように顔を埋めて眠っている。いつもは綺麗にまとめた長い黒髪も、今は背中に広がり、首筋から垂れ、君の頬に掛かっている。そんな無防備な君の姿が僕の胸を締め付ける。僕の前で君が完璧じゃないことに有難う。完璧じゃないから許し合えるし支え合える。君に出会えて、僕はやっと一人じゃなくなった。
冬の朝の日差しが、病院の窓から君の背中に降り注ぎ、ピンク色のカーディガンの上に、光と影のコントラストを揺らめかせていた。
君こと、和倉(旧姓・宮下)加奈子と、僕こと、和倉幸人の出会いは運命的だった。
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