真夜中の共演

都市伝説

　
　終業式が終われば今日から夏休みだ。クラスは喧騒で包まれている。

　今度遊びに行くだとかそんな話が耳に聞こえてくる中、奇妙な話が聞こえてきた。

　「ねぇ。知ってる？幸せのアカ子さんって都市伝説。ムラサキの鳥居にいる赤い服を着た女の子で出会ってしまったら追いかけないといけないんだって。上手く触れたら幸せになれるけど捕まえられなかったら不幸が訪れるんだって」

　よくある根も葉もない噂話だ。バカらしくなってきた。

　「私も知ってる。ムラサキの鳥居から出ると鉈男に出会うんだって。追いかけられて捕まると殺されちゃうんだって」

　都市伝説って言うか、ただの事件だ。鉈を持った男はどこで会っても脅威になる。

　「でも助かる方法はあるんだって。確か・・・・・」

　これもありがち。助かる方法があったほうが盛り上がるからね。

　「他にも知ってるよ。１００キロババアが・・・・・・」

　もう何でもありのような話が延々と。挙句には蛇型の巨大ワニとかUMAですか。こんなにも多彩な都市伝説が溢れたなんてある意味すごいわ。

　でも何かムラサキの鳥居が多くない？ムラサキの鳥居なんて見たことないけどあるのかな。

　まぁでもいいわ。そんなB級な噂話よりも１００％で叶えてくれる恋愛成就の方法があるらしい。隣のクラスの子でやった子も成功したらしく,、毎日イチャついているのが目に付いて気に入らない。

　あんな子がなぜかクラスでそこそこの男子と付き合ってると言う事実。呪いでもかけたんじゃないかとさえ思う。ただそれだけに噂の信憑性が増すばかり。

　噂は確か隣の市にある青空公園で満月の真夜中に中央噴水で意中の相手の名前を叫ぶと相思相愛になれるらしい。

　隣のクラスの男子は幸い好みのタイプでなかったから良かったけど。この夏、他の誰かに先を越される前に先手を打つ必要がある。

　さっそく今夜は満月。実際に確かめるしかない。

　ホームルームが始まる中、決戦へ向けて静かに闘志を燃やしたのだ。