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真夜中、前方の少女は通りすがりには見えない。存在が希薄でどう考えてもアレにしか見えない。
幸せのアカ子さん。
噂では、触れることが出来れば幸せが訪れるらしい。逃げられると不幸が訪れるだったか。
「いや。違うでしょ。だって赤い鳥居だったに。詐欺じゃない。」
アカ子さんが無言で進みだす。
「ちょっと。待ってよ」
急いで駆け出す。クラスの女子では早いほうだけど運動部ではない。アカ子さんはスーッと前に進んでいく。
「ちゃんと走りなさいよ」
無常な追いかけっこになかなか差は縮まない。何か嫌な予感がして後ろを確認すると黒い影が追ってきていた。手には鉈のようなものを持っている。
「嘘でしょ。鉈男?」
鉈男に捕まると殺されるらしい。つまり私にとっての不幸が鉈男ってこと?
「なんでよ。何も悪いことなんかしてないのに・・・・」
図らずも前方にいる幸せのアカ子さんを追いかけつつ、後方の鉈男から逃げる態勢になっていた。
動悸・息切れが半端ない。真夜中の共演は終わらない。
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