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もうダメだ。息が続かない。止まって息を整えないと。
「ハァ・・ハァ・・・」
前を見るとアカ子さんの姿は無くなっていた。
「ひどい・・・」
どう考えても追いつける気がしない。後ろを見ると黒い影が迫っている。
「やばいよ・・・」
再び走り出す。もう少しすれば終わりが見える絶望的な展開の中、私は思い出した。
「アレだ・・・」
朝の話の中にあったあの方法を使えばこの危機を切り抜けられる。でもあの条件は現状満たしていない。
見つけるしかない。結構走っているんだから、方向さえ間違っていなければあるハズなんだ。
「あっ」
段差に躓いた。もう立ち上がる気力がない。黒い影がもうすぐそこに迫っている。もう助からないのか。
「?」
水の撥ねる音がする。横手を見ると噴水があった。きっと中央噴水に違いない。噴水に向かって這いながら大きな声で叫んだ。
「ゆうたくん!」
「助けて!」
水の音が聞こえる。少し時間が経って起き上がると辺りには何もない。どうやら助かったのか。
ブーン♪♪♪
不意にスマホが鳴り始めた。着信は・・・・
「ゆうたくん?」
番号は交換していたけど実際かかってきたことは一度も無かった。このタイミングでかかってくるなんて・・・・。
私は恐る恐る電話に出た。
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