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嬉しい気持ちも束の間、恋する気持ちはまるでジェットコースターみたい。
私を暗い気持ちにさせたのは二学期最初の席替えだ。
見事に教室の廊下側一番後ろの席と廊下側の一番前の席に離れてしまった。
しかも二宮くんは後ろの席だから授業中にそっと見ることさえ叶わない。
プリントを後ろにまわす時にうまくチラッと見ることが出来ないかなどと下らないことを考えてみたものの、やっぱりへこむ。
その日は高校に入学以来、初めて二宮くんと一言も話さなかった。
それ以降は負の波に乗ってしまったように彼と近くの席になることは無くなった。
そして大した共通点もない私達は一度話さなくなると、会話のキッカケを見つけられず、全く話さなくなってしまった。
二学期の終業式のこの日までは。
すっかり関わりをなくした間にも彼の背がグングン伸びているのは目に見えて分かっていた。
「じゃあさ、それキッカケで話しかけちゃいなよ、別に変に思わないと思うよ二宮くんも、一人が不安なら私も一緒に行くから、ねっ大丈夫」
まるで子供を優しく諭すように言い、美樹は穏やかな眼差しをこちらに向けた。
砂糖菓子みたいに脆くて守ってあげたくなるような女子だと思っていた美樹にそんなことを言われるなんて。
すっかり立場逆転したみたいだ。
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