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自然と私の目には涙が溜まっていく。
二宮くんの身長が大きくなっていくのに合わせるように、私の彼に対する好きの気持ちもどんどん大きくなって行った。
今なら自信を持って言える。
「今日は来てくれてありがとう、あのね...私、二宮くんのことが好き」
短い言葉の中に私の想いを全て込めた。
想いを伝えるのに回りくどい言葉なんてきっと要らない。
「ありがとう、俺も好きだ」
私の目と口からは涙と笑みが同時にこぼれる。
好き、その二文字に勝る言葉なんてこの世にはないんじゃないかと十六歳の私はそう思った。
その後、私と二宮くんは公園のベンチで色んな話をした。
彼の身長が脅威のスピードで伸び、いつの間にか私を追い越して166センチになったこと、実は入学してすぐ私を好きになったこと、だからあんなやり取りでも毎日絡めるのが楽しみだったこと。
「坂井さんが背の高い男子が好きって話してるの聞いて、でも諦めたくなくて頑張って背伸ばしたんだ」
彼は照れくさそうに笑った。
「まだまだ男子の中では低いけど、これからもっと高くなるから楽しみにしててよ」
弟みたいだと思ったこともある二宮くんが何だか、かっこいい。
「うん、楽しみにしてる」
涙を拭って私も微笑んだ。
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