一学期

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「でけーな、お前」 彼にそう言われたのは四時間目が終わり、仲良しの美樹の席へ行こうと立ち上がった時だった。 「あんたが小さいんでしょ」 私は立ったまま彼を見下ろす。 「何食ったらそんなにでかくなんの?」 「そういう問題じゃなくて遺伝です」 毎日一回のお決まりのやり取り。 彼とは高校に入学以来よく、本当によく席が近くなる。 月に一度席替えがあるのだけれど、四月は私の右斜め後ろが彼の席。 五月は彼は私のすぐ前の席へ。 そして今回、六月はついに隣同士になってしまった。 私は美樹の席へ向かった。 「二人相変わらず仲いいねー」 美樹は同じ中学からやって来た唯一の友達だ。 「仲良くなんてないよ、勝手に絡んでくるだけだよアイツが」 それを聞いて美樹はふふっと鈴の音のように笑った。 彼女は儚げで可愛らしい。 購買にお昼ご飯を買いに行こうと二人して歩き出す。 確かに隣の席の彼、二宮亮太が言う通り私、坂井萌結(めい)はモデル並と言うほどではないけれど、まあまあでかい。 165センチの45キロと細身でたまにモデルみたいと褒められることもあるから、それなりにこのスタイルは気に入っていたりする。
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