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「もう夏休み終わりなんてー」
八月の終わり、マックの窓際の席で私は悲鳴にも似た声を上げた。
「でもさ、やっと二宮くんに会えるのは嬉しいんじゃないの?」
美樹にはすっかり私の気持ちがバレてしまった。
夏休みの出校日は一日も二宮くんに会えなかった。
一日は私が夏風邪を引き出校出来ず、もう一日は家族旅行に行っているらしく彼が欠席だった。
夏休みで会えない間にすっかり私の気持ちは彼へと固まった。
自分より背の低い男子なんてありえないと思っていたのに。
そんなことはもうどうでもいい。
私は二宮くんが好きだ。
「あっ二宮くん!」
美樹が窓にグッと顔を近づけた。
「うそっ!?どこどこ」
彼女に釣られるようにして私も窓に顔を近づけ、辺りをキョロキョロと見渡す。
「さっきの絶対二宮くんだったと思う!自転車に乗ってたの、ちょっと日焼けしてたみたいに見えたけど」
美樹の言葉にドキッとした。
二宮くんというフレーズを聞くだけで胸が高鳴る。
夏休み前みたいに何も気にせず、お決まりの掛け合いが出来るだろうか。
照れてしまって、二宮くんにデカ女が気持ち悪いとか思われないだろうか...。
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