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二十年ほど前、兄の友人であるOさんが体験したという話。 初秋を迎えたある夜、Oさんはアパートへ引っ越したばかりの友達に呼ばれ、酒と食べ物を持って出向いた。 指定された棟へ入りエレベーターで三階へ上がると、一番奥の部屋へ向かって歩いていく。 ここだよな……? 目的地である部屋の前まで来たOさんは、まだ表札のないドアを一瞥してからインターホンを鳴らした。 しかし、反応はなく誰かが出てくるような気配もない。 仕方なく再度インターホンを鳴らし様子を窺うが、結果は同じ。 あれぇ、場所間違えたかな。 おかしいなと思いつつ、Oさんは一度建物から出て棟の番号を確認するも、指定された棟で間違いはない。 じゃあ、部屋を間違えてたのか? 一人で悩んでも埒が明かないと、Oさんはその場で友人へと電話をかけた。 もしもし、俺だけど。今さぁ、お前に言われた棟の三階に行ったんだけど、部屋一番奥で合ってるのか? 空き部屋っぽかったけど。
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