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部屋の番号が、さっきは三〇七と表記されていたはずなのに、今度は三〇八 に変っている。 おかしいな、どうなってんだ。 部屋番号が書かれたそのプレートは、ドアに接着されているため悪戯で擦り替えたりできるものではない。 それと、もう一つ。 さっきまではなかった表札が、今度はちゃんと付けられていた。 間違いなく、友人の名前だ。 耳をすませば、中からは聞き覚えのある仲間たちの楽しそうな声が漏れてきている。 訳がわからないままインターホンを鳴らすと、今度はすぐに返事があって友人がドアを開けて出迎えてくれた。 おう、ちゃんと来れたな。お前、どこで迷ってたんだよ。 からかうように笑う友人を釈然としないまま見つめ返し、Oさんはふと気になって隣の部屋、さっき自分が訊ねたはずの三〇七号室の前へと移動した。 おい、どこ行くんだ。入れよ。 不思議そうに声をかけながら通路へ出てくる友人の制止も聞かず、ドアの前に立ったOさんはまたそこで訳がわからない気持ちに襲われた。
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