魔王討伐完了後の恩賞

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【私はこれより王都に向かい、国王陛下に救援の兵を求めてくる。そなたらは私が援軍と共に帰還するまでの間、いかなる手段を用いても、魔王軍の侵略からレムリア王国の北の国境線でもある、我がロデリック男爵領を守り抜くようにせよ】 【【はい。御領主様】】 私達の生まれ故郷である、ロデリック男爵領の御領主様であるロデリック男爵閣下は、馬上で急遽徴兵した男性の民兵である私達に頷かれると。 【では頼んだぞ。はあっ】【パチンッ。パカラッ、パカラッ、パカラッ…】 【王都に救援の兵を求めに行くだけなら、何で男爵家の家族全員を馬車に乗せて南下させているのだろうな…】 私は共に徴兵された、同郷の幼馴染みの友人に対して軽く首を振って。 【一切抵抗せずに、魔王軍の先鋒にレムリア王国の北の国境線でもある、ロデリック男爵領を明け渡したとなると。御領主様も、レムリア王国の宮廷での立場が無くなりますからね。徴兵した民兵とはいえ、最低限度の抵抗を示せば、国王陛下に対して申し開きが可能になりますからね】 私の推測に、共に徴兵された民兵の仲間達は、全員嫌そうな表情を浮かべて。 【俺達は全員捨て駒か。どうする逃げるか?】 仲間の一人の提案に、私は魔王軍が迫って来ている北の方角に顔を向けて。 【御領主様の放った斥候からの報告を聞きましたけれどね。魔王軍の先鋒は、半人半牛のミノタウロスが率いているそうですね】 私の話に殆どが農民の民兵仲間達は、怪訝そうな表情を浮かべて。 【ミノタウロスって何だクリス?】 私は同郷の友人であるヨハンに対して、今度は軽く肩を竦めて。 【伝承によると、ミノスの王妃が牡牛と通じて生んだ不義の子ですね。由来による呪いで、生まれて来るのは全て牡という種族ですねヨハン】 【牡だけの種族が、どうやって繁殖するんだ?】 先程逃げる事を提案した民兵仲間の問いに。不安気な表情を浮かべながら、私達民兵を遠巻きに見詰めている女性達の方に視線を向けると。 【半人半牛のミノタウロスは、繁殖するのに他の種族の女性を利用します。特に人間の女性を好むと聞いていますね】 【………】 私の説明を聞いて、私達が逃げ出したら残された女性達がどのような目に合わされるか、民兵の男性の全員が理解をしたようですね。 【ここで逃げたら、男じゃねえな】 最初に逃げる提案を行った男性の言葉に、民兵の男性の全員が頷きましたね。
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