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『それではハイデル商会長、私達が王都を離れている間に、ロデリック男爵邸の購入手続きと、改装工事の手配を頼みますね』
『はい。御任せ下さい。クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』
翌日、ハイデル商会の本部に再び赴いた私達旅の仲間の一行は。ロデリック男爵領に隣接をする街道での山賊団退治の間に、王都で行っておいてもらいたい内容を、グレゴール・ハイデル商会長に依頼しましたね。
『マリーとアニーの二人は、改装後の邸宅で同じ部屋で暮らすんだ?』
小人族のホビーの確認に。ハーフエルフの女性であるマリアンヌと、ドワーフの女性であるアニーの恋人同士は笑顔で頷いて。
『ええ、そうよホビー。肉団子亭でも、私とアニーは同じ部屋で宿泊していたでしょ』
マリアンヌの説明に、ホビーはそうだったかなという表情を浮かべて。
『あたしは王都に居る時は、盗賊ギルドの本部にある雑魚寝部屋で暮らしていたから。肉団子亭での、マリーとアニーの暮らしは興味が無かったから』
物心付いてからずっと大陸を放浪して来たホビーは、大陸中の盗賊ギルドを渡り歩いて来たので。宿を取るという習慣が無かったそうですからね。
『改装後のソリュード伯爵邸には、ホビーの部屋もありますから。いつでも気が向いた時に泊まりに来て下さいね』
私が微笑みながらホビーに対して話すと、ホビーも私に対して笑みを浮かべて。
『ありがとクリス。クリスは下心が無い珍しい男性だからね♪』
私よりも年長だと思われる、様々な意味で経験豊富な女性であるホビーの感想に、私は苦笑を浮かべながら頷くと。ハイデル商会長の方を向いて。
『王都からロデリック男爵領まで北上して、レムリア王国最北端にある私のソリュード伯爵領までの街道の様子を確認しながら移動をしますから。移動手段としては馬車を私達は使用をしますけれどね。ハイデル商会からは、隊商の護衛の依頼も肉団子亭の方に出していたと、親方から伺っていますね?』
私の問いに、ハイデル商会長は頭を下げて。
『はい。クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。ロデリック男爵閣下の御領地の西隣の御領地への、物資の輸送の御依頼を受けております』
あの領地ですか。
『馬車に乗せてもらえるのでしたら、その依頼も受ける方向で話を進めたい思いますね。ハイデル商会長』
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