魔王討伐完了後の恩賞

17/24
前へ
/2320ページ
次へ
『皆さん。本日の糧を与えて下された、天上界の神々に感謝の祈りを捧げましょう』 『『はい。聖女様』』 『…正直に言わせてもらえるのなら、あの集団に近付きたくはないですね』 『あはは。国王陛下認定の勇者様のクリスにすれば、魔王よりも苦手な存在かもね♪』 レムリア王国の王都の中でも、食い詰めた平民が集まる貧民窟で。貧しい身なりをした貧民達を相手に神々の一柱の教えを説きながら、食事の配給を行っている女性の様子を物陰から観察しつつ、私は旅の仲間の小人族のホビーに対して。 『ロデリック男爵領の西隣の子爵領への、物資の輸送の依頼をハイデル商会にしたのは彼女ですからね。覚悟を決めて会うとしましょう』 『マリーとアニーの二人は、物資を運ぶ隊商の方を確認すると言って、上手く逃げたけれどね♪』 経験豊富なホビーの言葉に私は苦笑を浮かべつつ無言で頷いてから。内心の嫌さが表情に表れないように注意をしながら、貧民の集団に近付いて。 『聖女カタリナ、お忙しい所を…』 『ああっ。勇者クリストファー様っ!。皆さん、邪悪なる魔王から世界を救って下された勇者様が、御出下さいましたっ』 『『おおっ。勇者様だっ。勇者様だっ。勇者様万歳っ』』 うん、ホビーは流石ですね。先程までの笑みを完全に消して、勇者に仕える従者のように恭しい表情と態度で、私の側に控えていますね。 『聖女カタリナ。魔王討伐は私一人の功績では無い。貴女を含む旅の仲間の助けがあってこそだ』 私の言葉に聖女カタリナは、恭しく地面に膝を付いて深々と御辞儀をして。 『何と謙虚な御言葉でしょう。皆さん。勇者クリストファー様こそが、神々が私達に天より御遣わしになられた希望なのです』 聖女カタリナの言葉を聞いて、貧民窟の貧民達は全員額を地面に擦り付けて平伏して。 『『勇者様万歳。勇者様万歳。勇者様万歳』』 …とっとと仕事の話を済ませてしまいましょう。 『聖女カタリナ。貴女がハイデル商会に依頼をしていた、貴女の生まれ故郷の子爵領への、魔王軍の攻撃から復興する為の物資輸送の件だが。私達も北方に出向く用事があるので、一緒に受ける事としたので。隊商の馬車に乗せてもらえるのなら、護衛の依頼料は必要無いとお伝えに来たのだが』 ロデリック男爵領に隣接をする街道を根城にしている山賊団を退治するのが、ハイデル商会長から受けた依頼ですからね。
/2320ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1179人が本棚に入れています
本棚に追加