魔王討伐完了後の恩賞

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『勇者よ。この度の魔王討伐の任。真にもって大儀であった』 私は王城の大広間において、内外の貴族諸侯の皆様方の視線を集めながら、国王陛下の御前で恭しく片膝を床に着いて跪くと。 『勿体無い御言葉です、国王陛下。これも偏に国王陛下の御威光の賜物で御座います』 私の分を弁えた態度に、国王陛下は満足気に御頷きになられたようです。 『殊勝であるな勇者よ。汝に魔王討伐の恩賞として、伯爵の爵位と、魔王に滅ぼされた隣国の旧領を伯爵領として下賜する。本日よりは、クリストファー・フォン・ソリュード伯爵と名乗るがよい』 『『おおっ』』『ザワッ、ザワッ』 国王陛下が下賜されたの恩賞の大きさに、王城の大広間に集まっていられる貴族諸侯の皆様方から驚きの声が上がりました。 『国王陛下の御高恩に、心底よりの御礼を申し上げます』 あくまでも分を弁えた態度を崩さない私に対して、国王陛下は再度御頷きになられたようです。 『立つが良い友よ。今宵は王城に泊まり身体を休めるが良い』 私は国王陛下の御言葉に従い立ち上がると、恭しく深々と御辞儀をして。 『はい。国王陛下。重ね重ねの御恩情に、臣は心底よりの御礼を申し上げます』 国王陛下と、大広間に集まっていられる貴族諸侯の皆様方の視線からは。私も自分達と同じ領地と領民を支配する貴族階級の人間に相応しい人物であるという、好意的な感情が伝わって来ました。 『こちらに成ります。クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 『判った』 王城に仕える侍女に案内をされて、大広間から今宵を過ごす客室に着くと。適切と思われる金額のチップを支払ってから。 『何かあれば呼ぶから、下がっていて良い』 私の言葉に侍女は、恭しく深々と御辞儀をして。 『はい。クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。失礼を致します』 『カチャッ』 客室の扉が閉まり、侍女の気配が遠ざかったのを確認してから。私は先に客室に来て待っていた女性に視線を向けて。 『上手くやったと思いますか?』 私の問いに。魔王討伐の旅の仲間の、ハーフエルフの女性は笑顔で頷いて。 『ええ、上手くやったと思うわよ。クリストファー』
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