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『多大なる御配慮を頂きました事に対して、心底よりの御礼を申し上げます。王太后陛下』
翌朝。王太后陛下付きの侍女が、王城内の王太后陛下の居室で私達二人を御呼びだと知らせに来たので。私はマリアンヌを伴い、王太后陛下の居室に赴いて。椅子に腰掛けられている王太后陛下に対して、恭しく深々と御辞儀をすると。王太后陛下は、鷹揚に頷かれたようですね。
『面を上げなさい。ソリュード伯』
『はい。王太后陛下』
王太后陛下の御言葉に従い私は面を上げましたが。マリアンヌは後方で目立たないように控えていますね。
『卿は下賤の身の生まれですが、分を弁えています。駄馬から名馬が生まれる事が、極めて稀にありますが。ソリュード伯、卿は駄馬から生まれた名馬のようですね』
王太后陛下の御言葉に、私は再度恭しく深々と御辞儀をして。
『勿体無い御言葉です。王太后陛下』
王太后陛下は、私の後方に控えているマリアンヌの方を見られると。
『卿とその混血のエルフは、男女の間柄では無いのですね？』
王太后陛下の御確認に、私は恭しく深々と御辞儀をしてから。
『はい。王太后陛下。魔王討伐の旅の間に寝食を共にして、時には一緒に水浴びをした事もありますが。男女の間柄ではありません』
王太后陛下は、私とマリアンヌ双方の表情を確認されるように覗き込まれてから。納得をされたように頷かれて。
『ソリュード伯、卿は種族・性別を問わずに生来誰に対しても、恋愛感情を抱く事が無い人格の持ち主だと聞いていますが。間違いはありませんか？』
王太后陛下の問いに、私は恭しく深々と御辞儀をして。
『はい。王太后陛下の仰られる通りです。私は生まれてから一度も、恋愛感情を抱いた事はありません』
王太后陛下は、私の返答に満足気に頷かれて。
『それは非常に良い事です、ソリュード伯。卿は伯爵家の当主となったのですから、貴族同士の婚姻と子作りは、全て政略に基づいた物となります。折を見て伯爵家の当主である卿に相応しい家格の良家の娘を、数名紹介するとしましょう。その中で気に入った娘を一人選んで、卿の妻として子を産まさせなさい』
私は心底からの感謝を込めて、王太后陛下に対して恭しく深々と御辞儀をして。
『御気遣いに心底よりの御礼を申し上げます。王太后陛下』
私の態度に王太后陛下は満足をされて、笑顔で頷いて下されました。
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