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『私は国王陛下から、レムリア王国の伯爵位の爵位を授与して頂きましたからね。表向きは非合法組織とされている、盗賊ギルドからの依頼を受ける訳にはいきませんね』
私の話に左隣に座っている、旅の仲間のハーフエルフの女性であるマリアンヌが頷いて。
『それが賢明だと思うわクリストファー。貴族兼冒険者をするにしても、依頼人は厳選した方が良いと思うわ』
私とマリアンヌが話していると、マリアンヌの左隣に座っている、ドワーフのアニーがマリアンヌの左腕に自らの右腕を絡めて。
『貴族も大変ね。それなら今後はどうするのクリス?』
アニーの問いに、私は少しの間考えてから。
『今朝王城で王太后陛下と御会いをした際に、私は伯爵位の貴族となったのですから、王都にも邸宅を構えるように御助言を頂いたので。魔王討伐の為の冒険の旅の途中に入手した金銀財宝等を売却をしていた、ハイデル商会を訪れて相談をしようかと考えていますね』
私の考えに親方も頷いて。
『魔王討伐の為の旅の途中の勇者一行の特権として、旅の途中に手に入れた金銀財宝や魔法の道具を、自分達の懐に入れて良いという古来からの不文律があるからな』
私は腰に帯びている魔剣に視線を落としながら。
『この魔剣も、旅の途中に入手した名剣ですからね。勇者と旅の仲間は魔王討伐の旅の途中ならば、勝手に宝箱の鍵を解錠して、宝箱の中身を入手する事が認められるという不文律が。古来から定着をしていますからね』
私の話にマリアンヌも頷いて。
『冒険や戦闘に使える道具は、私達がそのまま所持をしているけれど。冒険の旅に不用な換金可能な品々は、ハイデル商会に売却をしていたけれど。ハイデル商会は私達との取引で、多大な利益を得ていたから。クリストファーが王都に伯爵位の家格に相応しい邸宅が欲しいと相談をしても、喜んで商談に応じると思うわよ』
私とマリアンヌの話を聞きながら、親方は依頼書の束に目を通して。
『ああこれだ。ハイデル商会からも依頼が来ていたな。クリスの領地になったソリュード伯爵領に向かう北の街道の途中を根城にしている、山賊団を退治して欲しいという依頼だ』
私は親方が差し出した、ハイデル商会から依頼をされた、山賊団退治の依頼書に目を通して。
『王都と領地を結ぶ街道に、山賊団が根城を構えていては私も困りますからね。この件も聞いてみる事にしますね』
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