第三章 ソリュード伯爵領編

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『これで私が正式に城下町で任命するべき人間は終わりですね?。フーシェ家宰』 私がレムリア王国の王都で、国王陛下から正式に伯爵位の爵位を授与されてソリュード伯爵領に帰って来るまでの間。治安維持を除く内政の全てを委ねていた、デイヴィッド・フーシェ家宰は。新たな主である私に対して優雅に御辞儀をすると。 『はい。我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。閣下がレムリア王国の国王陛下から伯爵としてこの地を治める資格を得られて。今まで勇者の称号の元で、暫定的に役職に御命じになられていた、私を含むソリュード伯爵領内の城下町に滞在をしている全員が。これで晴れて正式に認められた役職と称号を得ました』 フーシェ家宰の確認に私は頷くと、領内の治安維持を委ねていたヨハンの方を見て。 『読み書きの勉強は順調ですか?。ヨハン』 私の問いにヨハンは、フーシェ家宰の事を気にしながら。 『自分の氏名は書けるようになりました。フーシェ家宰様に騎士隊長として署名を行う必用がある書類の内容を読み上げて頂いて、自分が自筆で署名を行う事は出来るようになりました。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 ロデリック男爵領出身の、友人でもある戦友のヨハンの話に私は笑顔で頷いて。 『短期間に何一つ読み書きが出来ない状態から、自分の氏名が書けるようになったのは素晴らしい進歩だと思いますねヨハン』 私の生まれ故郷の村で、読み書きが出来たのは。我が師である謀略神の教えを受けている、私一人だけでしたからね。 『ありがとうございます。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 私はもう一度同郷の友人であるヨハンに対して笑顔で頷いてから。フーシェ家宰の方を見て。 『城下町に到着するまでの間に、ヨハンから報告を受けましたけれどね。ソリュード伯爵領の西部の、都市国家同盟に今の所は属している。グルーノ女王国との国境線沿いで。飛竜のワイバーンが目撃されているそうですね。フーシェ家宰』 フーシェ家宰は私の問いに、再び優雅に御辞儀をしてから。 『はい。我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。その件で協議を行いたいと、グルーノ女王国から使節が来訪を致しております』 国境線沿いに隣国の了解を得ずに、無断で騎士団を派遣する訳にはいきませんからね。
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