第三章 ソリュード伯爵領編

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『聖女カタリナに、狩猟神。これからグルーノ女王国から派遣をされて来た使節に会わなければならないのですが。非常に申し訳ないのですけれどね…』 私が言い淀んでいると、私の胸中を察してくれた聖女カタリナが笑みを浮かべながら。 『どうか御気になさらないで下さい、勇者クリストファー様。私達は席を外しています』 聖女カタリナの気遣いに、私は心から感謝をして。 『ありがとうございますね。聖女カタリナ』 私と聖女カタリナのやり取りを聞いていた、白い狼姿の狩猟神は。少しだけ不思議そうな表情を浮かべて。 <クリストファー・フォン・ソリュード伯爵が、都市国家同盟とやらに属するグルーノ女王国の使節に会う際に、私が席を外すのは別に構わないが。私と慈母神の神使が同席をしていると、何か不都合があるのかな?> 長年祠に封印をされていた狩猟神に対して、説明をしていませんでしたね。 『説明をしていませんでしたね、申し訳ありませんでしたね狩猟神。レムリア王国は国教を定めてはいないのですけれど。都市国家同盟に属するグルーノ女王国は、国家の宗教である国教を定めている国でしてね。自国の国教とされている宗教以外の信仰を持つ存在との同席は、友好関係にある鉄血騎士団に所属をする騎士を除いては、好まない文化の国でしてね』 私の説明に、狩猟神は納得をされたように頷かれて。 <成る程な。そういう事ならば狩猟神である私と、慈母神の神使の同席を避ける、クリストファー・フォン・ソリュード伯爵の考えも理解は出来る。そのグルーノ女王国では、どのような神を国家の宗教として崇めているのか聞いても構わないだろうか?> 狩猟神の問いに私は頷いて。 『グルーノ女王国で国教として信仰をされているのは、女性神ですね』 私の返答を聞いた狩猟神は、少し信じ難いという表情を浮かべられて。 <あの女神を国教として信仰をしていて、どのように国体を保っているのだ?> 狩猟神の疑問に、私と聖女カタリナの二人は思わず揃って苦笑を浮かべてしまい。 『友好関係にある鉄血騎士団では、男性神を国教として信仰をしていると言えば、御理解を頂けるでしょうか?』 私の説明に、狩猟神は呆れたような表情を浮かべて。 <女性だけの国と、男性だけの国に分かれて暮らしているのか?。国単位でそんな事をするとはな>
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