第三章 ソリュード伯爵領編

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『カミラ・グルーノ王妹殿下。御足労を頂きまして、心底よりの御礼を申し上げます』 『いえ、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。御元気にされていましたか?』 私は笑顔でカミラ王妹殿下に対して頭を下げて。 『はい。御気遣いを頂きまして、御礼を申し上げます』 カミラ・グルーノ王妹殿下。都市国家同盟に属する、グルーノ女王国の君主であらせられる、カサンドラ・グルーノ女王陛下の妹君であらせられる御方ですね。 『カサンドラ・グルーノ女王陛下にも、御変わりはありませんでしょうか?』 私の問いにカミラ王妹殿下は優雅に御頷きになられて。 『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。女王陛下も、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下に、御会いしたいと仰せになられていました♪』 …社交辞令の言葉以上の意味が、グルーノ女王国の君主であらせられる、カサンドラ・グルーノ女王陛下の御誘いにはありますからね。 『身に余る御言葉です。カミラ・グルーノ王妹殿下』 私は使節団の代表である、カミラ・グルーノ王妹殿下に対する挨拶を終えると。使節団の護衛を担当している、鉄血騎士団の騎士の男性に目を向けて。 『ルートヴィヒ騎士隊長久し振りだな。息災にしておったか』 『カツンッ』 『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。御気遣いに心底よりの御礼を申し上げます』 グルーノ女王国は、国防を全て鉄血騎士団に委ねています。代わりに鉄血騎士団は外交を全てグルーノ女王国に委ねる事により、両国の役割分担を明確にしていますね。 『“擁護者”マクシミリアン騎士団長閣下にも、御変わりは無いか?』 『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。擁護者マクシミリアン騎士団長閣下にも、御変わりはありません』 “擁護者”とは、都市国家同盟において魔王軍の南進を食い止めた、マクシミリアン騎士団長に対して。都市国家同盟の総意で送られた称号になりますね。レムリア王国における私の勇者の称号や、聖女カタリナの聖女の称号に近いですが。マクシミリアン騎士団長の擁護者の称号は、都市国家同盟の総意で送られた物ですから。都市国家同盟が存続する限りは、剥奪不可能な称号とされていますね。
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