第三章 ソリュード伯爵領編

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『シュトラウス騎士隊長から報告を受けていますが。レムリア王国とグルーノ女王国の国境線地域で、飛竜であるワイバーンが目撃をされている件で。今回は御訪問をされたのですね?』 挨拶を終えて席に着いた私が、机を挟んで反対側に腰掛けられた。グルーノ女王国の君主であらせられる、カサンドラ・グルーノ女王陛下の妹君、カミラ・グルーノ王妹殿下に確認をすると。カミラ王妹殿下は、優雅に御頷きになられて。 『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。グルーノ女王国とレムリア王国の国境線地域で起きている問題ですから。レムリア王国最北端の御領地である、ソリュード伯爵領の御領主である、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下との協議が必要であると。女王陛下が御判断をなされました』 事前の予想通りですね。 『レムリア王国とグルーノ女王国は、親密な友好関係にありますが。カサンドラ・グルーノ女王陛下の御気遣いに対して、心底よりの御礼を申し上げます』 グルーノ女王国の独特な宗教と文化さえ無ければ、レムリア王国との関係は更に友好的な物にできるのですけれど。それは言うべき内容ではありませんからね。 『グルーノ女王国とレムリア王国の国境線地域は、沼沢の湿地帯となっているのですが。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下は、以前に訪れた事があると聞き及んでいます』 鉄血騎士団の団長の、マクシミリアン騎士団長閣下に以前に御話しをした事がありますが。ルートヴィヒ騎士隊長を通じて、カミラ王妹殿下は御聞きになられたのだと思いますね。 『はい。その通りです、カミラ王妹殿下。私の旅の仲間である、ホビー女史に案内をしてもらいました』 大陸中を放浪して来た、小人族の凄腕の盗賊であるホビーは。私の説明に恭しく深々と御辞儀をして。 『勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下の御役に立てて、この上無い名誉と感じております』 凄腕の盗賊は、相手や状況によって話し方や態度を完璧に変える技術も身に付けていますけれど。ホビーが大陸の裏社会でその名を知られているのも納得の変わり身ですね。 『シュトラウス騎士隊長。沼沢の湿地帯の地図を』 『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 ここからは、ワイバーン退治の為の具体的な作戦を話し合わないといけませんからね。
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