第三章 ソリュード伯爵領編

7/72
1178人が本棚に入れています
本棚に追加
/2320ページ
『パラッ』 『レムリア王国とグルーノ女王国の国境線に位置する沼沢の湿地帯ですが。私が治めるソリュード伯爵領が小王国だった当時から、放浪者や無法者が流れ着き、独自の共同体を構築しています。カミラ・グルーノ王妹殿下』 ヨハンが広げた地図を指差しながら私が説明を行うと、カミラ王妹殿下が優雅に御頷きになられて。 『グルーノ女王国は少なくとも“現時点では”、都市国家同盟に所属をしていますけれど。グルーノ女王国と、鉄血騎士団以外の都市国家同盟に所属をする都市国家の多くが、奴隷制度を採用しています。そうした奴隷制度を採用している国々から逃亡した奴隷も、この地の独自の共同体に加わっていると承知を致しております。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 随分と露骨に、グルーノ女王国は都市国家同盟からの独立を目論んでいると。レムリア王国の貴族である私に対しての意思表示を、カミラ王妹殿下はされていますが。鉄血騎士団の団長である、マクシミリアン騎士団長閣下の側近のルートヴィヒ騎士隊長も平然としている所を見ると。今更隠し立てする必要さえ無い段階に、事態が進展をしているようですね。 『はい。仰られる通りです、カミラ・グルーノ王妹殿下。地図上では、レムリア王国のソリュード伯爵領と、グルーノ女王国の国境線地域に、この沼沢の湿地帯は存在をしていますけれど。自主独立の共同体を築き上げ、外部からの干渉をこの地域の住民は拒絶をしています。以前に私がホビー女史の案内を受けて、この地を訪問した際には。魔王軍の侵略の危機に晒されていたこの地の共同体の方から、放浪者としてこの地を訪れた事があるホビー女史を通じて、魔王軍と戦っていた私との共闘を持ち掛けて来たので。敵の敵は味方の考え方の元で、協力関係を結びました』 この内容は以前にも、都市国家同盟の擁護者であるマクシミリアン騎士団長閣下に御話しをしてありますから。ルートヴィヒ騎士隊長を通じて、カミラ王妹殿下は既に御存じだとは思いますけれど。一応は説明をしておかないと、失礼にあたりますからね。 私の説明を聞いて、カミラ王妹殿下は優雅に御頷きになられて。 『丁寧な御説明に、御礼を申し上げます。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』
/2320ページ

最初のコメントを投稿しよう!