第三章 ソリュード伯爵領編

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『それでは勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。グルーノ女王国とレムリア王国の間の国境線の地域の沼沢の湿地帯に暮らす者達との交渉は、全て御任せを致します』 『はい。御任せ下さい。カミラ・グルーノ王妹殿下』 飛竜のワイバーンが目撃をされている地域に暮らす、放浪者や無法者や逃亡奴隷による共同体の信頼を、共に魔王軍と戦った私は得ているので。沼沢の湿地帯で暮らす者達との交渉は、全て私に任せてもらえる事となりましたね。 『それと今宵泊めて頂ける部屋は、私とルートヴィヒ騎士隊長は、相部屋にして頂けると助かります』 グルーノ女王国の君主であらせられる、カサンドラ・グルーノ女王陛下の妹君でもある。カミラ・グルーノ王妹殿下が蠱惑的に微笑みながら仰られたので。私も笑みを浮かべながら頭を下げて。 『はい。御任せ下さい。カミラ・グルーノ王妹殿下』 カミラ王妹殿下は優雅に私に対して御頷きになられて、紅茶を一口飲まれてから私に対して。 『先程御伝えをした、女王陛下からの御伝言である。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下と御会いをしたいと言う御言葉を、考えておいて下さいね♪』 私は我が師である謀略神と、王太后陛下に長年に渡り仕えられている侍女長から学んだ。社交辞令に関する技術を総動員して笑みを浮かべると。 『熟慮をさせて頂きます、カミラ・グルーノ王妹殿下』 『熟慮断行を期待させて頂きます。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 そう言われるとカミラ王妹殿下は優雅に立ち上がられて部屋から退出されましたが。最後にルートヴィヒ騎士隊長が私の方を振り向いて、男性同士だけに理解を出来る視線を向けて来たので。私は感謝の気持ちを視線に乗せて返しましたね。 『チリンッ、チリンッ、チリンッ』 『御呼びで御座いましょうか。我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』 隣の部屋で控えていたフーシェ家宰が、私が卓上の鈴を鳴らすと静かに現れたので。 『カミラ・グルーノ王妹殿下と、ルートヴィヒ騎士隊長の。今宵を共に過ごす部屋の手配を頼みます』 フーシェ家宰は主君である私に対して、優雅に御辞儀をしてから。 『はい。我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。既に御用意をさせて頂いております』
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