魔王討伐完了後の恩賞

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『レムリア王国の貴族諸侯の序列は、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の順位となりますからね。国王陛下と王太后陛下の御住まいになられている王城の直ぐ側には、公爵家と、侯爵家の邸宅が並んでいますけれど。公爵家と侯爵家は、王室の血統に連なる名家ですから、四家門の四大名家しかないですからね』 ハイデル商会長がテーブルの上に広げた王都の地図を見ながら、私がレムリア王国の身分制度を再確認する意味で説明を行うと。マリアンヌも地図を見ながら頷いて。 『王太后陛下は、既に御譲位なされている先王陛下の元に、公爵家から御輿入れをされたけれど。血統的には、先王陛下の従妹だと聞いているわね』 私とマリアンヌの話に、ハイデル商会長も頭を下げて。 『はい。クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下と、マリアンヌ様の仰られる通りです。王太后陛下は、国王陛下と、王妹殿下の御二方を、御輿入れ後に御産みになられています』 貴族階級の身分制度には興味が無いアニーが、御茶菓子を食べながら。 『国王陛下の妹君の王妹殿下は。留学名目で、レムリア王国の南方の国に疎開しているのよね?』 アニーの確認に私は頷いて。 『ええ、その通りですねアニー。今では私の領地になっているソリュード伯爵領を治めていた小王国の王室一家は、魔王四天王の先鋒の猛攻を受けて、慌てて小王国の南に位置するレムリア王国に逃亡をしようとしましたけれど。判断が遅くて、レムリア王国との国境線付近で追い付かれてしまい、全滅をしましたからね。王太后陛下としては、レムリア王国の王室の血統が絶える事が無いように。王妹殿下を、留学名目で南方に疎開させましたからね』 私の説明を聞いていたマリアンヌと、アニーと、ハイデル商会長の三人は。お互いの顔を見合せて同時に苦笑を浮かべると。 『魔王軍の先鋒を務めていた四天王の、半人半牛のミノタウロスは。小王国の王室を滅ぼした勢いに乗り、そのままレムリア王国最北端の男爵領に攻め込んだのだけれど。そこで化物と遭遇する事になった訳ね』 マリアンヌの話に、私も苦笑を浮かべて。 『否定はしませんねマリアンヌ。魔王四天王の剛力自慢のミノタウロスとすれば、レムリア王国最北端の男爵領なら、大した戦力はないだろうと判断をしたのでしょうけれど。彼にとっての最大の不幸は、その男爵領が私の生まれ故郷だった事ですね』
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