第三章 ソリュード伯爵領編

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『トスンッ。ふうっ…』 『あはは。お疲れ様クリス♪』 フーシェ家宰の報告を聞いて、私が椅子の背凭れに身体を預けて溜め息を吐くと。ホビーがいつものように労ってくれましたが…。 『ホビー女史。実に畏れ多い事ですが。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下は、レムリア王国の国王陛下から伯爵の爵位を授与されている、この地の御領主様であらせられます』 『あはは、フーシェは本当に変わらないよね♪。小王国時代に宰相をしていた時からどのくらい変わっていないか、動かぬ証拠と複数の証人を突き付けて、説明をしてあげても良いけれど?』 フーシェ家宰はホビーに対して、優雅に恭しく深々と御辞儀をして。 『御無礼を致しました。ホビー“様”』 うん、ホビーとフーシェ家宰は仲が良くて、見ていて心が和みますね。 『フーシェ家宰。私が不在の間にソリュード伯爵領の統治を円滑に行ってくれた事に対して、心から感謝をしていますね。感謝の気持ちを具体的に表す為に、支給する給与の金額を、今は小王国の宰相時代の五倍ですけれど。倍の十倍に引き上げさせてもらいますね』 領主としての私の決定に。かつては小王国の宰相だったフーシェ家宰は、優雅に恭しく深々と御辞儀をして。 『我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下の御高恩に、心底よりの御礼を申し上げます』 私は笑顔でフーシェ家宰に対して頷くと。 『私は周囲の人達に恵まれていますからね。レムリア王国の王都の王城で国王陛下と二人きりで御会いをした際にも。国王陛下は私の旅の仲間である素敵な女性達の事を、名前の後に女史の敬称を付けて御呼び下されましたからね』 私の警告を完璧に理解したフーシェ家宰は、再びホビーに対して優雅に恭しく深々と御辞儀をして。 『今後二度と無礼な態度は取らないと、私が信仰をしている謀略神にかけて御誓い申し上げます。ホビー様』 我が師である謀略神の弟子として、信徒のフーシェ家宰の誓いは重く受け止める事としますね。 『グルーノ女王国から御来訪をされている、使節団の方達への応対を頼みますね。我が忠臣であるデイヴィッド・フーシェ家宰』 『はい。御任せ下さい。我が御主君であらせられる、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下』
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