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『復唱せよ』
『カツンッ』
『はい。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。命令の内容を復唱させて頂きます。ソリュード伯爵領城下町を南下し、レムリア王国北方貴族諸侯領筆頭の、ヒンデンブルク侯爵領の領主代行であらせられる。アリス・フォン・ヒンデンブルク領主代行様に、勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下の書状を手渡した後に。更に南下をして、レムリア王国王室直轄領と、北方貴族諸侯領の境界線の関所町の責任者であらせられる、アルフォンス・フォン・テルモス騎士隊長閣下に、聖女カタリナ・フォン・テルモス様の書状を手渡し。そのまま更に南下をし、レムリア王国王都の王城にて、国王陛下に勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下の書状を提出致し。次に王太后陛下に、マリアンヌ様の書状を提出致します。その後、テルモス子爵邸にて、アルバート・フォン・テルモス子爵閣下に、聖女カタリナ・フォン・テルモス様の書状を提出し。最後に、ハイデル商会が改装工事を請け負っている、ソリュード伯爵邸の工事の進捗状況を確認した後に。北上をして、ソリュード伯爵領の城下町に帰還を致しまして。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下に御報告を申し上げます』
私は家臣の騎士の復唱を聞いて、命じた内容を完全に理解しているの事を確認してから、伝令の騎士に対して頷いて。
『それで良い。道中気を付けて移動をするように』
私の言葉に、家臣の騎士は恭しく深々と御辞儀をして。
『勿体無い御言葉です。勇者クリストファー・フォン・ソリュード伯爵閣下。それでは出立を致します』
『うむ』
私はソリュード伯爵領の城下町の中にある城館の執務室で、伝令の命を与えた騎士が退出するのを見送ってから。
『これまでに把握をした、グルーノ女王国と鉄血騎士団による動きですけれど。現時点で情報を伝えておくべき方達には、これで大体報告を行う事になると思いますね。聖女カタリナ。テルモス子爵領の領主代行のアーサー卿には、妹の聖女カタリナから書状を書いて、定期便の馬車に預けて送っておいて下さいね』
私の言葉に聖女カタリナは、恭しく深々と御辞儀をして。
『はい。御任せ下さい勇者クリストファー様。アーサー兄様には、私の方から書状を書いて送っておきます』
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