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トリクは、次に二人の前衛を連れて来た。
『火属性のマイノスと風属性のハルノスだ。二人まとめて来てくれと言ったら快諾してくれた。』
一定の報酬が保証される帝の直属隊ならば、二人組を使う事も可能という有利さを活かしてトリクは選んでいた。
これで体はなったか、と思ったがトリクはもう一人だけ一番最初に決まってた奴が居ると口にした。
『遠距離タイプか?』
『いや違う。』
トリクが連れて来た若者は、隣の水帝に比べて随分華が無い。というか、地味を通り越して気配すら感じない。
『土属性のエルド、壁役だ。』
ついこの間B級になったばかりだが宜しくと挨拶をしてきたが、他の水帝隊員はどうも納得できない。
ダチか?とマイノスが静かに尋ねるとトリクは彼の言いたい事を見抜いた調子でそれは肩書の一つに過ぎ無いと言い返した。
『そいつの装備、どう見てもC級によく居る山菜か薬草採りの安い直刀だろ。』
それで猪型や時には熊型のモンスターとカチ合えば、刀ごと折られるのを分かってないと歴戦の初老兄弟は少々声を低くする。
『それは土属性以外の話だ。』
『ま、そういう事で最初の任務で試し斬りといこうか。』
土属性なんて余程の猛者で無い限り、日頃の依頼では不利なんだよなぁとカリヴァは水帝の友人を少々哀れに思った。
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