回想その1

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 トリクはそんな状況の隊を、いきなり王都の近郊で森の中に放り込み近くまで来ていた狼型の群れに接触させた。  『エルドだっけ、えーっと一応俺も治療魔法使えるから痛いのだけ我慢しろよ?』  生きて帰れば水帝トリクが何とかしてくれる、というのが水帝隊の保険になっている。  道中聞いた話では彼は水属性のA級に加えて雷属性も使えるらしく、リーチの長い槍を操る事で攻防のバランスが良く、おまけに治療魔法まで使える万能型と分かった。  (それを隊員がそれぞれバックアップ出来る構図か。)  しかし防御寄りとされる水属性の頂点が、属性で言えば更に防御寄りとは言え土属性隊員をわざわざ招くのは合理的に思えない。  まあコネなら仕方無いとカリヴァは唸り声をあげて水帝隊を囲み始めた狼型に集中した。  「ガゥッ」  向こうが初動でトリクに四方から突っ込んだ瞬間、水帝の周囲から吹き出した大量の水が殆どを吹き飛ばし数頭が槍で叩き潰される。  『流石。』  『歳は関係ねえってか。』  マイノスとハルノスも連携して仕留め始め、カリヴァも水魔法で一方を牽制しつつもう一方に斬り込んだ。
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