【この世で最も強く尊きものを】

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 目が覚めたら朝だった。  当たり前といえば当たり前だが、今日が昨日の続きであるなら、確認しなければいけないことが山積みだ。  カロッサは寝かされていたベッドから跳ね起き、昨夜見た白い装束の男を探そうとしたその時、 「目が覚めましたね」  タイミングよく開いた扉に、カロッサはどこか肩透かしをくらったように意気込みが削がれ、白いコートに身を包んだ男は、フードこそかぶっていなかったものの、朝日の元でも劣らぬ白さでもってカロッサに近づき、 「まずは食事にしましょう。話はそれからで」  言って、カロッサは彼に手を引かれ、別室へと連れて行かれた先は台所で、トマトベースのスープと薄い生地のパンのようなものが何枚かテーブルの中央にあり、彼がカロッサに座るよう指した席側にだけ、レアに焼かれた肉があった。 「召し上がってください。貴方の苦手なものは使っていませんから」  謎がまた一つ増えた。けれども食事を目の前にしたら、ほとんどのことは後回しだ。  カロッサは豪快にそれらを食べあげると、男に倣って薄い生地パンをスープに浸して数枚食べ、けれども最終的にはそんなまどろっこしい食べ方は彼にはあわず、深皿だったこともありスープ椀を両手で持ち上げると、一気に飲み干して食事を終わらせた。  そんなカロッサの所作に呆れてというよりは、心底楽しそうに笑うと、件の男───青年は、ふっと表情を改めると、自身も食事を終えた席から立ち上がり、カロッサの側へ寄ってくると、ふわり、と白い衣の裾を広げながらカロッサの前に跪くと言った。
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