真夜中の堕天
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『あの快い夜のなかへ おとなしく流されてはいけない──』 学生時分に溺読していたトマスの詩が、男の頭をよぎった。 けれど、その詩のいわんとしていることは、男がおかれている状況とは、まるで関係がなかった。 唯、あの詩の、あの一行のみが、トラ箱にいる男に、憤怒のワケを分け与えていただけのことだった。 なぜ、こんなことになってしまったのか?と。
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