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その夜。
あたしは気がつくと外に居た。
寝ていたはずなのにどうして、という疑問もすぐに消えてしまったのは、笑い声が耳に届いてきたから。
声がした方向を見ると、何人かの子供達が居て。
誰だろう、あの子達?
こんな真夜中なのに、楽しそう。
だからあたしはつい彼等の元へと向かい、仲間に入れてと言いに寄ってみた瞬間、体が凍りついた。
大きな目。
笑った口許。
昼間の───みんな、水子!?
「あんた誰」
「見かけないね」
「知らないね」
「人間じゃない?」
「人間だって」
「人間だ」
水子達が一斉に顔を併せて、誰が喋っているのかもわからない、みな同じ顔してこっちを見てきたから。
あたしはふるふると首を振って、その場から逃げ出したかったのに。
「一緒に遊ぼう」
「そうだそうだ、遊ぼう」
「遊ぼうよ」
「これで一緒だね」
手といわず髪と言わず、水子達があたしの体のあちこちを掴んで引っ張るものだから。
「いやー!」
それでもなんとか水子達を振り払い、あたしは走り出した。寝ていたはずの自分の部屋を目指して。なのに。
あたしの行く手を阻んでくれたのは、昼間の水子だった。
「行けないよ」
ニタッとした顔で、ニヤニヤ笑いながら、その水子は言ったのだった。
「きみは昼間、後ろの正面を当てられなかった。当てられなかったから僕と目が合った。だからもうきみは帰れないよ。もう僕達の仲間なんだ。一緒に遊ぼう? おいで、一緒に行こう。そうすればこれからは一緒だよ、お姉ちゃん」
あたしは知らずその水子に手を引かれ、みんなの所へと戻ると、
「遊ぼ」
「遊ぼうよ」
無邪気に誘われるその声に、ニタッと笑い返して言っていた。
「うん、遊ぼう」
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