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再び俺が部屋から戻ると、ミリアはソファに体育座りをしてテレビのバラエティ番組を観ていた。
「あ、直至くんおかえり」
さっきとは違って平然としている。数十分前の出来事を記憶ごと抹消したかのようだ。彼女は俺に横に座るよう促し、俺はその通りにする。開口一番は謝罪の言葉だった。
「さっきはごめんね。ちょっと調子に乗りすぎたね」
謝るべきは俺の方だ。……色々と。
「いや、俺も悪かった。怖かったんじゃないか?」
ミリアが俺を見て吹き出す。
「……私は自分が困ることはしないよ」
「どういう意味だ?」
ミリアは俺の手を握り自分の顔を俺の顔に近づけてくる。至近距離に来たのは、彼女の挑発的な笑顔、それは目を逸らすことを許さない、蠱惑の顔だ。
「……どういう意味だろうね?」
彼女は無邪気な笑い声を立ててすくっと立つ。
「ねぇ、やっぱり一緒にベッドで寝ようよ。思い出になるし」
ミリアはいそいそとベッドに潜り始めた。
「はぁ? お前本気か?」
俺はテレビの電源を切りながら聞く。ベッドの方から返事が返ってきた。
「一緒に寝てさ、私のさっきの言葉の意味を考えてよ」
「はぁ……」
結局俺は彼女の隣で一晩考えたが、サッパリ答えは出なかった。
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