4章

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「直至くん、理由わかった?」 「わかんねぇよ」 そもそもコイツは掴み所というものがない。 「じゃあ、宿題だね」 彼女は屈託無い微笑みを見せた。何が宿題だ。 「ここ、朝食無料なんだよ。食べて帰ろうよ」 大体ホテルって朝食無料じゃないか? というか今日は講義が昼からだから適当に出ないと間に合わないのだが。 「……せっかくだしな。和食かな」 ……まぁ今日はいいか。ミリアがフロントに電話を入れ始めたので俺はそのまま顔を洗いに向かった。 やがてインターホンが鳴って、手作り感満載の赤いチェックのエプロン姿の普通のおばさんが朝食を持ってきた。 「なんかホテルの人っぽくない人だったな」 「田舎だからじゃない?」 そんなもんだろうか。 「……またいつか来てみようよ、直至くん」 ミリアがみそ汁を飲みながら言う。 「……そうだな」 今食っている鯖も焼き過ぎで、飯もそんなに美味くは無かったが、確かに彼女と一緒に過ごした時間は割と悪くなかった。
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