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第八話 鬼ごっこ
真夜中、僕は、カチャカチャという物音に気がついた。
爆睡していたので、若干、寝ぼけてはいたが、複数人の足音が、僕に近づいて来る!
僕は目を閉じたまま、寝返りをする振りをして、ベッドの小脇に隠してある木刀に、そっと左手を伸ばした。
宮本武蔵のごとく、立ち回るイメージが整った。
そのときッ!
「あれっ? 木刀がない!」
う、うそ~ッ! 何で?
「おぬし、お探しのものは、これかな?」
横向きに寝ている背後から、まさに、お探しの木刀を、首筋に突き付けられた!
『寝たフリ、してる間に~、出て行ってくれ~』という、わずかな願いもむなしく、寝たフリをしているというネタ振りも、もはや、これまで。
僕は、背中越しに、
「何奴じゃ?」
と、問い掛けた。すると、
「見れば分かる! こちらを向けぃッ!」
と、スゴまれた!
僕は、無抵抗のまま両手を挙げて起き上がり、そろりそろりと、得体の知れないモノたちの方を向いた!
すると、何とッ!
そこにいたのは、掃除機、食洗機、洗濯機、扇風機、洗面器の皆さんだった!
「えっ?!」
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