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第六話 遺書教室
「課長ッ!」
「んっ?」
「最近、どうもあいつ何か悩んでるみたいでして」
「冴内くんか?」
「はい。何か、最近、あいつ遺書教室に通ってるって噂あるんすよ」
「えーッ! そうなのッ! まぁでも、遺書教室と言うのか、今の時代、終活教室も、一般的になってるから、そう言うのんじゃないの?」
「あくまでも噂なんですけどね。それで、課長、今度の忘年会のときにでも、それとなく声掛けて、悩みとか聞いてやってもらえませんか?」
「おぉ、分かった!」
同期の冴内くんは、もともと物静かなタイプで、目立つタイプではない。
プライベートなことは、そんなに話すタイプではないが、真面目な仕事っぷりで、みんなからは信頼されている。
それだけに、遺書教室通いの噂もあって、一人で悩みを抱えて、何か思い詰めてるんじゃないだろうかと、みんな心配していた。
ー 忘年会当日 ー
「今年もお疲れさん! 年忘れだ! 飲み放題だ! 無礼講だ!」とは言え、冴内くんは、なかなかの飲みっぷりで、かなり結構なペースで、ガンガン飲んでいた。
「荒れているのか? やけ酒か? そのうち、ぐでんぐでんに潰れちゃうんじゃないだろうか?」
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