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アベルとリィン。二人は“とある街”へと向かっていた。
「確か決まった時期に大雨が降るんだっけー。私は雨好きだけどなぁ。涼しくなるし、地面に跳ねたり滝のように流れたり、いろんな音がして楽しいし」
「そんな能天気に受け止められるようなもんじゃない。“プランキス”の類だ」
――その地域では五十年に一度、記録的な大雨が降る。
決まった日。決まった時間。決まった降水量。
世界規模で日照りが続き水不足が起こったところで――
その時がくれば、この地域にだけは恵みが降り注ぐ。
異常に輪をかけた異常なのだが、この世界ではそれもまだ一部。
似たような規模で、全く異なる現象が起きていた。
それがいったい、どういう原理で起きているのか。それぞれの分野のエキスパートがいくら研究しするも、未だ答えは出ることがない。原因不明の異常現象のことを“神の悪戯”と人々は呼ぶ。
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