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「前はどこだったっけ? ウェルダー?」
「“朝が来ない街”だったな。あれは夜目が利かない身では苦労した」
そうした街を転々とする二人。もちろん観光などではなく、仕事として訪れていた。報酬も発生し、それで食いつないでいた。
「さて、少々問題なのは大雨の方じゃない。その街の規則だ」
「へー、規則。どんなの?」
手帳を再び開き、苦々しそうに言うアベル。そんな様子を見て、首をかしげてリィンが尋ねる。そんな彼女に対して、アベルが溜め息を吐きながら答えた内容は――更に彼女の頭にクエスチョンマークを増やすだけだった。
「――街でポイ捨てしただけで死刑になるそうだ」
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