君と2度目の恋をしよう

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* ガラガラと教室の戸を開けると、2ーAの教室には、予想していた通り、今日も誰も来ていなかった。 米津君以外は。 2ーAどころか、全学年、本当に片手で足りるくらいしか来てないんだろう。 先生だって、来ているのはほんの一握りだ。 そんな米津君は、私の隣りの席だ。 米津賢人。2年生に上がってから、同じクラスになった男子。 髪はパーマをかけてるんだか天然パーマをかけてるんだか分からない。とにかく、ボサボサ系と言ってしまえば話は早い。 前髪が異常に長めで、目がほぼ見えない。 最初見た時、モップのように毛が長い犬みたいだと思った。 そして、黒縁メガネをかけて、常にマスク着用。 なので、顔のつくりがほとんど分からない有り様だ。 背は高めで、体型は割と良い方だと思うけど、猫背っぽいところがザンネンなところ。 声はあんまりはっきりと聞いたことがない。 何を言ってるのか分からないくらいに、低めの声でボソボソと話しているのを聞くぐらいだ。 休み時間は大体音楽を聞きながら、何かの本を読んでいる。たまにノートに何か書いたりもしているみたい。 私としては、感覚的に見た目もその雰囲気も受け入れがたいものがあったので、特に会話することもなく。 今までは只のクラスメートとして、ひたすら並んで座っているだけの間柄だった。 でも、私は今日突然、その関係を変えようとしている。 それは、世界が終わる前に。 たとえ疑似でも。 相手が少し……いや大分オタクっぽいような。 あるいは、多少不審者っぽいように見える相手でも? それでも良いから。 叶えておきたい夢が、私にはあるから。
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