君と2度目の恋をしよう

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「米津君、おはよう」 思いっきり明るく、滅多に出さないような声と笑顔で言ってみた。 すると予期せぬ私からの挨拶に、米津君は肩をピクッと動かし。 そして、恐る恐る私の方を向きながら特に喋らずに、軽く頭を下げて。 それからその後、何事もなかったかのように、再び読んでいた文庫本に目を落とした。 私はその様子を見ながら自分の席に座り、米津君にもう一度、勇気を出して声をかけた。 「ねぇ、米津君」 またしても、予期せぬ私からの問いかけだったんだろう。 米津君の肩が、ピクッと動いた。 それを見て、なんか猫みたいに思えた私は可笑しくなって、ついクスッと笑った。 それから、とんでもない爆弾発言を彼に浴びせた。 「米津君。たった今から明日世界が消えて無くなるまでの間、私の彼氏になってくれないかな。出来れば、もう3年くらい付き合ってるくらいの雰囲気で」 「……え?」 マスクの下から、米津君の声が漏れる。顔の表情はいまいち分からないけれど、明らかに戸惑っている様子はよく分かる。 私はもう一度、自己チューだらけな提案をした。 「最後に、誰かと一生分の恋愛をしてから消えたいんだ。だから、あたしと付き合ってよ」
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